「イセタン サロン ド パルファン 2019」体験レポート【ジャパニーズメイドの香り】
年々パワーアップしている香りの祭典「ISETAN Salon de Parfum(イセタン サロン ド パルファン)」。毎年、各ブランド限定の香りや初登場の香りが紹介されていますが、昨年から引き続き注目を浴びている“ジャパニーズメイド”の香り、特に新作について掘り下げてレポートしていきたいと思います。
2019年11月11日更新
記事の目次
[1]R fragance(アールフレグランス)
日本人調香師 村井千尋氏によるフレグランスブランド。
「RIN(凛)」「RICH(贅沢で豊かな香り)」「RARE(希少性の高い他にはない香り)」それぞれの頭文字を取り、日本の豊かさと癒しを香りで表現したブランドです。
MADE IN JAPANにこだわり、調香・製造・充填に至るまで、日本で丁寧に作られています。
私は昨年、「ISETAN Salon de Parfum(イセタン サロン ド パルファン)」で『R fragrance(アールフレグランス)』に出会い、感銘を受けました。日本にもこんな素敵な香りのブランドがあるのだと。
初めて試香したのにどこかノスタルジックな香り。それはまるで日本人としてのDNAに訴えかけてくるようでもあり、とても落ち着く癒しの香りでもありました。
今回は新作がリリースされる!ということで楽しみにしていました。
その名も「MORNING SLUMBER(モーニング スランバー)」。
新作「MORNING SLUMBER(モーニング スランバー)」
調香に柚子とありますが、レモンっぽさも…。鮮烈な柑橘のトップからはじまり、しばらくたつと落ち着きのあるムスクへ…。
まるで自分の肌から良い香りが香り立っているような、肌そのものが美しい香りを放っているようなそんな感覚を覚えました。
今回幸運にも、新作の背景について村井さんにお伺いすることができたので、ご紹介します。それは、ちょっとドキドキするようなセクシーな朝のワンシーン。
彼の家に泊まった朝、カーテンの隙間からこぼれる眩しい光で目が覚めて…
甘い声で名前を呼ばれたと思ったら後ろから抱きしめられて思わず体が火照ってしまう…
そんなシチュエーションをイメージして作られたのだそうです。何だかとてもエロスを感じました。
確かにあの…自分の体温がぐっと上がる熱っぽい感じと、モーニングスランバーのミドルあたりの「いつの間にか自分の肌に溶け込んだ感」「自分の肌に存在する温か味」が重なります。
モーニングスランバーは肉体の交わりを超越した精神の交わりが裏テーマ、なのだとか…。
トップからミドルへの変化具合が顕著でひねりがあるので、ぜひ肌にのせて試してもらいたい香りです。
また今回、ブランド初のヘアミスト「TEA BREAK Hair Mist(ティー ブレイク ヘアミスト)」の発売も♪(伊勢丹新宿店限定・生産数量限定)
こちら、上品で優しい紅茶の香りでした。香水と併せて使うのも良さそうです!
[2]TOBALI(トバリ)
ブランド名の「帳(とばり)」とは、“覆い隠し秘める布”という意味で、隔てて見えなくなった向こう側の魅力を増幅し昇華させる、日本独特の“秘める美”がコンセプトになっています。
ボトルや箱は、全て白で統一。古くより神聖な色として考えられている白。日本の伝統的な文化を現代的な解釈で再構築し、繊細で神聖な白のみの旋律で“秘める美”を表現しています。
『TOBALI(トバリ)』も、昨年の「サロン ド パルファン」で出会い、心動かされた香りです。どこか影を感じるようなウッディノートは、西洋のフレグランスの香調とは一線を画しています。
今回の新作は、「TWILIGHT ROMANCE(トワイライトロマンス)」。
新作「TWILIGHT ROMANCE(トワイライトロマンス)」
ノスタルジックなムード漂うフローラルウッディー。品のある金木犀と白檀の香りが心地よくて、思わずウットリしてしまいます。
上品な美しさ、女性らしさ漂う香りなので大人の女性にこそつけてもらいたいですね。フローラルがお好きな方はきっとお好きなことでしょう!
私のように普段メンズライクなゾーンを攻めてる人のフローラル入門編にも◎。落ち着きのある香りなのでオフィスでも使えそうです♪ラスト…そして残り香まで素敵!
サロンドパルファン初日に『TOBALI(トバリ)』のブースを訪れ、ブランドディレクター奈良さんのお話をじっくり聞かせていただきました。
「TWILIGTH ROMANCE(トワイライトロマンス)」は、伊勢丹HPにも
“雅”な白檀に寄り添う薔薇の花びらを“悲哀”の金木犀が包み込む。
そんなロマンスのように淡い、ジャポニズム フローラル ウッディの香り。
と美しく表記されていますが、奈良さんからもっと細かく背景を語ってもらいました。
この香りは六歌仙の小野小町をイメージした香り、とのこと。
絶世の美女と言われ、情熱的な歌風が多い小野小町。恋多き女性でありながら生涯独身を貫いたとされています。
そんな彼女の生涯から感じる悲哀、そこをテーマにしたのだそうです。
私がこの香りを初めて纏った時も、美しくありながらも、どこか胸がキュっとなるような切なさを覚えました。
“雅に秘める悲哀”の深い背景を知り、より一層ストンと自分の中に落ちてきたというか…あぁ、だからこんな儚さや物悲しげな一面もあるのだなと理解しました。
「サロン ド パルファン」開催時はちょうど金木犀の季節でした。
夜、帰宅までの道すがら、厳かに香ってくる金木犀を感じるたびに「TWILIGTH ROMANCE(トワイライトロマンス)」を思い出しました。
夜道を歩いている時にふと出会う…あの金木犀の感じにとてもよく似ています。
こちらは伊勢丹新宿店限定の香りです。
[3]Miya Shinma PARFUMS(ミヤシンマパルファン)
変わらない自然の美しさと、そこから生まれた感情や思い出からインスピレーションを受けて創られたブランド。調香師はパリ在住の新間美也氏。
天然香料が持つ本来の魅力を引き出すため、日本をはじめ各国で生まれた香りをフランスの地に集結、選び抜きブレンドして熟成させるという贅沢な工程を経たコンポジションの数々は、ブランドの哲学である「芸術に従い、自然に従う」を体現する存在です。
『Miya Shinma PARFUMS(ミヤシンマパルファン)』は、4年前のFNOで出会いました。(FNOとは、VOGUE FASHION NIGHT OUTのことです)
「みず」や「ゆき」などを試香して初めて受けた衝撃は、今も昨日のように覚えています。今までにない新しい香りだな、と感じたからです。
今回は伊勢丹限定で「きもの かぜ」がリリースされていました。
新作「きもの かぜ」
軽やかだけど、厳かなムードも併せ持つ「風」だなと思いました。深く…静かに包みこまれるような、そんな印象の風。
松の実、杉、檜、ベチバー…グリーンやウッディが効いていて落ち着きます。
伊勢丹の冊子に「ある午後、京の都で開かれた茶会に集まる人々の洒脱な佇まいを感じさせる香りです」と記載されていましたが、本当にそんなシーンが目の奥に浮かぶような洗練された香りでした。
ミヤシンヤパルファンの香りを「着物」をモチーフにリメイクし、「着物」にゆかりのある香りを織り込んだ「きもの コレクション」は、どの香りも和服にしっくりくる美しい香り。
「かぜ」のほかに「ひのき」と「さくら」がありましたが、個人的には、とても「ひのき」に惹かれました。
「ひのき」といっても、もちろんヒノキだけが香るわけではなく、どこかスパイシーさを感じるのは、クローブやパチュリが入っているからこそでしょう。
このスパイシーさがなんとも言えず良いのです!
スタッフさんが「クレモンティーヌも入っているんですよ」とおっしゃるので「クレモンティーヌって何ですか?」と尋ねたら「蜜柑(みかん)です」とのことでちょっと驚きました。
調香に蜜柑ってあまり聞いたことがなかったので…。
どうもこの「ひのき」だけ妙に気になったのは、クレモンティーヌのせいもあるかもしれませんね(笑)
[4]ジャパニーズメイドの香りたち
「サロン ド パルファン」。たくさん載せたいブランドがある中から、あえてジャパニーズメイドの香りをピックアップしたのには、3つの理由があります。
一つ目は、やはりジャパニーズメイドの香りは私たち日本人にとって、どこか郷愁を誘うような胸にくるものがあるからです。
二つ目は今回挙げたブランドがどれも「和」なテイストをベースに持ちつつも常に斬新な香りをリリースし続けているから。
三つ目は、まだまだ成長を遂げるこれらの香りたちを、いろいろな人に知ってもらいたいからです。
とかく香水というと、海外のブランドたちに目が行きがちですが、日本にだってこんな素晴らしいブランドがある、ということを胸をはって主張したいのです。
「サロン ド パルファン」は終了しましたが、新宿伊勢丹の各ブランドショップでは引き続きお取り扱いがあります。
気になる香りがありましたら、ぜひ試してみてくださいませ。